「売る」ことをやめたとき、営業としての本当の旅が始まった


I. 異業種から飛び込んだ、未知の領域

食品メーカーで新商品を企画し、日本酒メーカーで市場を歩き回ってきた私にとって、精密機器の営業は、まるで別の言語を話す国に来たような感覚でした。

扱うのは、目に見えないほど小さな世界を操作する、数千万円の装置。

「自分に、この価値が正しく伝えられるだろうか」

期待よりも不安が勝っていた転職当初、先輩から言われた一言が、私の営業観を根底から覆しました。

「堀さん、僕たちは装置を売っているんじゃない。お客様が諦めかけていた『不可能』を、技術で解決するプロセスを売っているんだよ」

II. 顧客の「悲鳴」が「拍手」に変わる瞬間

私たちの営業は、お客様の「困りごと」を深く掘り下げることから始まります。

ある研究機関を訪れたときのこと。
お客様は、微小なサンプルのハンドリングに数時間を費やし、疲弊していました。

私は自社の技術で何ができるかを必死に考え、開発部門と何度も議論を重ねました。
単なる製品の紹介ではなく、その研究がどう効率化されるか、具体的な未来を提案しました。

後日、デモンストレーションを行った際、モニター越しに作業が瞬時に完了したのを見て、お客様が「えっ、何だこれ……!」と驚きの声を上げ、続いて大きな拍手が湧き起こりました。

あの瞬間の高揚感は、これまでの営業人生で味わったことのないものでした。

III. 学び続けることで、世界と繋がる

専門性の高いこの世界では、立ち止まることは許されません。

私は今、会社のサポートを受けて英語の学習も始めています。

海外の展示会で、世界のトップランナーたちと対等に渡り合い、私たちの技術を届けるために。

マイクロサポートでの営業は、単なる販売の仕事ではありません。

お客様の課題を拾い上げ、技術者と共に解決策を創り出し、世界に届ける。
そのすべての工程に深く関わることで、自分自身の視座が一段ずつ高まっていくのを感じます。

昨日までの知識を脱ぎ捨て、新しい技術を吸収し、顧客の期待を超えていく。

この「考える営業」という冒険は、まだ始まったばかりです。

目次